セルフセラピーカード4番【裁き】

長谷川理子

セルフセラピーカード4番:

【裁き】

​今日スポットライトを当てるのは、多くの人が恐れ、そして誤解しがちなカード、4番「裁き」です。このカードが示すのは、私たちが日常的に行っている「裁くこと」—それは他人に対してだけでなく、何よりも自分自身に対して下す厳しい評価や批判なのです。この「さばき」のエネルギーを理解し、手放すことが、自己受容と精神的な自由への鍵となります。

内なる法廷 自分を裁く声

​私たちは皆、心の中に「内なる法廷」を持っています。この法廷は、親、教師、社会の期待、過去の経験から作られた完璧な自分像を「法律」とし、そこから外れるたびに「有罪判決」を下します。

​「あの時、あんなことを言うべきじゃなかった」「どうして私はいつもこうなんだろう」「もっと努力しなきゃダメだ」

​こうした声は、一見、自分を向上させるための「動機付け」のように聞こえるかもしれません。しかし、その実態は、私たちの自己肯定感を蝕む毒です。絶えず自分を裁き、罰することで、私たちは自分自身の最も大きな批判者になってしまいます。

裁きがもたらすもの

​この自己批判のエネルギーは、私たちから次のものを奪います。

1​エネルギーの浪費:

 過去の失敗や、他人からの評価に対する不安に、貴重な精神的エネルギーを費やしてしまう。

​停滞: 完璧ではない自分を受け入れられないため、新しい挑戦や、創造的な活動から遠ざかってしまう。

2人間関係の歪み:

 他人に向けられる厳しい批判は、実は自分自身への批判の裏返しです。他人を裁くことで、人間関係に壁を作ってしまいます。

「さばき」の真のメッセージ

​セルフセラピーカードの「裁き」は、私たちを罰するために現れるのではありません。むしろ、このカードは「もう、裁くのはやめにしませんか?」という、愛に満ちた問いかけです。

​このカードの真のメッセージは、自己受容と赦しです。

​裁きからの解放へのステップ

​「裁き」のカードが出たとき、それはあなたが内なる裁判官の職を解くタイミングが来たことを示唆しています。

​気づきと分離: まず、「裁き」の声に「気づく」ことが最初の一歩です。その厳しい声はあなた自身ではありません。それは、過去のプログラミングによって生まれた「思考のパターン」にすぎません。 「ああ、今、私は自分を裁いているな」と、一歩引いて客観的にその声を聞いてみてください。

「失敗」を「経験」に書き換える

 過去の出来事を「失敗」というレッテルで裁くのをやめましょう。全ての経験は、あなたを形作るための貴重なデータです。 「失敗した」ではなく、「この経験から、私は何を学べただろう?」と問いかけてみてください。

無条件の受容

完璧を目指すのではなく、今の自分—欠点も含めて—をただ受け入れる練習をします。これが、セルフセラピーの核です。 *「私は今のままで大丈夫だ」「私は、私自身の努力と存在を許します」*と、毎日、自分自身に語りかけてみましょう。

​裁きを手放した先にあるもの

​裁くことをやめると、驚くほどのスペースとエネルギーが生まれます。

​それは、真の自由です。

​自分を許し、受け入れた瞬間、あなたは他人の評価や過去の過ちの鎖から解き放たれます。あなたが自分自身を厳しく裁かなくなったとき、自然と他人に対しても優しく、寛容になれるでしょう。

​セルフセラピーカード4番「裁き」は、あなたに最高の贈り物をもたらすためにやってきました。それは、「自分自身との和解」です。

​さあ、内なる裁判官に休廷を告げ、自己愛という名の新しい法律を制定しましょう。あなたの心の中の法廷は、今日から愛と受容に満ちた場所へと変わるのです。

​​今日、あなたが自分自身に下している最も厳しい「裁き」は何ですか?その「裁き」を愛と受容の言葉に書き換えてみましょう。